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宝泉寺の駅名標
宝泉寺の駅名標

熊本といえば、廃線。これまでに県内の様々な廃線跡を巡ってきましたが、それぞれに魅力があります。

今回は、以前も少しだけ訪れたことがある国鉄宮原線。その停車駅の一つであった「宝泉寺駅」の跡地に行ってきました。

結論から言うと、鉄道遺構としての面影はほぼありませんでしたが、歴史に思いを馳せながら絶品パンを味わえました

立派な駅舎!…と思いきや、これは駅舎ではなかった

立派な建物は駅舎ではなく元お土産屋
立派な建物は駅舎ではなく元お土産屋

国道387号線から少し脇道に入ると、立派な木造の建物が見えてきます。目の前にはバス停も。鉄道が廃止されるとバスに転換されるのはよくある話。「なるほど、この立派な建物が当時の駅舎だったのか」と、思いました。

しかし、これは悲しい勘違い。

当時の駅舎はとっくの昔に撤去されており、この建物は後年になって建設・改装されたものでした。宮原線は、レールや駅舎といった遺構がほとんど残っていないのが特徴です。

この建物は元々、お土産屋兼鉄道資料館だったそうですが、それも閉館。最近「bakerycafe Humpty Dumpty」というパン屋さんとして、新たなスタートを切ったとのこと。駅名標置いてあるくせに…!

本当の駅はトンネルを抜けた先に

広い駐車場にトンネルあり
広い駐車場にトンネルあり

では、本当の駅はどこにあったのか?

広い駐車場の脇に、国道側へ上るトンネル階段があります。そんで当時は、この階段を上った先の国道部分に線路が通っており、プラットホームがあったというのです。駅舎はこの現在の駐車場になっている場所にあったとのこと。

国道付近
国道付近。こちらも整備されて跡形もなし

つまり当時の乗客は、国道沿いのホームからこのトンネル階段を下って、駅舎を利用していたようです。

現在はご覧の通りホーム跡も駅舎跡も綺麗に整備されており、当時の面影は全くありません。

周辺に当時の信号機などが保存されているのが、かろうじてここが駅であったことを物語っています。

跡地にできたパン屋「bakerycafe Humpty Dumpty」へ

鉄道の歴史に思いを馳せつつも、腹は減る。興味はすっかりパン屋さんに。

2階にはささやかな鉄道資料館

1階がパン屋で2階が資料館になっている
1階がパン屋で2階が資料館になっている

まずはお店の許可を得て、2階の資料館を見学。

展示は少なく、むしろイベントスペースとして利用しようとしてるような雰囲気もある
展示は少なく、むしろイベントスペースとして利用しようとしてるような雰囲気もある

おそらく、以前の鉄道資料館の展示がそのまま残されているようで、宮原線に関するいくつかの資料を見ることができました。

絶品!焼きたてパンを堪能

おしゃれで古民家風の内装
おしゃれで古民家風の内装

資料館を見学した後、1階でパンを購入。店内は外観に負けず劣らず、広くて非常におしゃれ。ゆったりした座席があり、くつろぎながら飲食できます。楽器も置いてあったので、時にはライブ演奏などもするのかもしれません。

パストラミビーフフランス
パストラミビーフフランス。それが何かは俺は知らない

私が選んだのは、焼きたての明太子パン(正式名称は失念)とパストラミビーフフランス。
これが、どっちもめちゃくちゃ美味かったです。

お昼前の時間帯でしたが、お客さんもひっきりなしに訪れており、人気店のようでした。

まとめ:鉄道の面影はなくても、訪れる価値アリ

こっちの方が鉄道跡っぽいのにねぇ
こっちの方が鉄道跡っぽいのにねぇ

国鉄宮原線の宝泉寺駅跡。正直、廃線跡としての見どころはほとんどありません。

しかし、在りし日の駅の姿を想像しながら、新しく生まれ変わった人気のパン屋さんで絶品のパンを味わう。これはこれで、非常にナイスな体験でした。

宮原線と言えば竹筋コンクリート

今回は駅に来ましたが、宮原線と言えば橋梁が有名です。宮原線の橋梁は鉄筋コンクリートではなく、竹筋コンクリート!見た目では分かりませんが、珍しいつくりをしています。さらに謎の透かしもあるよ。