バイクとADDress拠点
バイクと長野のADDress拠点

2020年8月1日、私はADDress(アドレス)という住み放題サービスを契約しました。賃貸住宅を解約し、最小限の荷物をバイクに乗せて全国放浪の旅に出かけたわけです。

ADDressとは
  • 月額44,000円(税込)
  • 日本全国200箇所の空き家や提携宿泊施設に滞在できる
  • 1拠点につき月14日まで滞在可。
  • 賃貸借契約が必要で、解約時は35日前の通知が必要

それから2022年3月まで、およそ1年以上をADDressで暮らしました。契約を悩んでいる人に向けて、使ってみてどうだったのかをレビューしていきます。

ADDressは始まったばかりのサービス:
ADDressは2019年4月にスタートした新しいサービスです。まだ始まったばかりなので、日々成長・変化しています。実際に私が契約して以降、たくさんの新拠点のオープン、規約の変更がありました。

そのため、口コミや評判を見ると現在は該当しないものもあります。当記事も含め、ADDressの情報に触れる際には「いつの時点の情報なのか」をよくご確認ください。

概要:ADDressは本当に住み放題なの?

ADDress藤巻温泉拠点にあった唐辛子
ADDress藤巻温泉拠点にあった唐辛子

まず多くの人が気になるであろう、「本当にADDressがあれば家はいらないの?」「住み放題なの?」という話。これ、ちょっと「ご安心ください!」とは言い難いです。少なくとも私はADDressだけでは暮らせなかったので、HafHという定額でホテルに宿泊できる別のサービスも契約しました。

というのも、ADDressの宿泊日数には下記の制限があるからです。

ADDressの宿泊上限
  1. 1度に予約できる宿泊数は14日間まで
  2. 1つの拠点につき、月に累計14日間を超える滞在不可

特に2番目の制約があるので、1ヶ月間をADDressだけで過ごそうとすると、少なくとも3つの拠点を利用しなければいけません(A拠点に14日間→B拠点に14日間→C拠点に2日間)。

都内なら拠点もたくさんあるので3拠点を移動しながら暮らすことができます。しかし、地方の方だとまばらなことも多いので、県を跨ぐ規模の移動をしないと次の宿に泊まれないこともあります。もちろん都内でも、予約が埋まってしまっている可能性もあります。またいずれにせよ、常に次の目的地の空き状況や移動方法を考慮しながら暮らすのは少なからずストレスでした。

とまぁそういう事情もあるので「ADDressだけで暮らす(=住み放題)」というのはなかなか難しいのかなと感じています。そしてそういうリスクがあるからこそ、ADDressが利用できない場合の保険としてHafHを使っていました。

宿泊数の制限はメリットでもある:
上記のように表現すると、「住み放題とか嘘じゃん!」て思われるかもしれませんが、逆にもしも宿泊数の制限がなかったとすると、同じ拠点に同じ人が長期滞在してしまい、他の人が全く利用できない、ということになりかねません。「様々な拠点を楽しめる」のは制限があるおかげで成り立ちます。なのでこれは利用者にとってメリットとも言えるルールです。

「予約が取れない」は本当?

ADDress宇城拠点
ADDress宇城拠点は本がやべぇ

もう1つの難敵が、予約が取れない問題。確かに人気の拠点は予約が殺到してしまって、予約が取りにくいことはありました。

ただ、拠点はどんどん増えていて、全国200箇所以上に存在します。初期と違って格段に拠点数が増えたため、特別人気の高い拠点じゃなければ、以前ほど予約が取れず難儀する機会が減りました。

使わない時は休会もできる:
ADDressは月額課金制ですが、使わない場合は休会申請することで、申請日の翌月はサービスを停止することができます。休会回数は年4回までとの制約がありましたが、現在はコロナの影響によって上限回数を定めていません。

補足:新プランが登場

いつの間にかこれまでのプランに加えて2つのプランが登場し、全部で3つのプランから選べるようになっていました。

ADDress3つのプラン
項目 おためしプラン きほんのプラン たっぷりプラン
月額(税込) 55,000円 44,000円 88,000円
予約上限枠 14日 14日 31日
月間の予約上限(同一の家) 14日 14日 14日
予約制限ありの家の予約可能数 3日 7日 14日
最低契約期間 30日 90日 90日

たっぷりプランはかなり魅力的ですね。通常の2倍の料金ですが、31日分の予約保持が可能です。ただし同一の家の月間予約上限は14日なので、たっぷりプランでも結局はひと月に3拠点移動する必要があります。

ADDressのメリット(良かったこと)

ADDress尾道拠点
ADDress尾道拠点はマジでロケーション最高

では1年以上を経てADDress生活でのメリット、良かったことを紹介します。

居住コストが安く済む

ADDress京都拠点
ADDress京都拠点は銭湯リノベのコワーキングスペースが使える

ADDressの月額費用は44,000円(税込)です。これには水道光熱費、インターネット料金などの費用も含まれています。家の規模も大きいところが多いので、かなり割安に居住できます。

先程の通り、宿泊日数の上限はあるものの1ヶ月間ADDressだけで暮らすこともできないわけではありません。家賃+公共料金込みで44,000円(税込)と考えると、かなり安いのではないかと思います。

とはいえ安く住むことにフォーカスしない方が良い:
このようにADDressには「安く住める」というメリットがあるのですが、安く住みたいだけの人にはADDressをおすすめしません

やはり制限があることで毎週荷物をまとめて移動しなければいけないので、そのめんどくささに耐えられなくなると思います。また、そもそもADDress側が「安く住むだけの人」をターゲットとしていません。「いろんな地域を回ってそこでの生活を体験してほしい」という精神でやってるので、今後サービス内容がその方向に寄っていく可能性もあります。

基本は個室なのでプライベートが守られる

ADDress個室内部
ADDress倉敷拠点の個室内部

ADDressで利用できる宿泊施設は基本的に空き家で、個室を利用できます。そのため他の利用者がいても一人になれる空間があります。

利用する家の構造にもよると思いますが、これまで特に騒音等が気になることもありませんでした。

一方で問題点を挙げるなら、セキュリティは甘めです。例えば鍵のない個室(内からしかロックできない)もあります。不特定多数が出入りするからこそ、貴重品の管理はしっかりしておく必要があります。

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ウサミミ
リビングがある場合も多いけど、テレビは基本置いてないね

家族や同伴者5名は無料で利用可能

大分拠点周辺の飲み屋街
大分拠点周辺の飲み屋街

ADDressでは同伴者5名まで無料で使えます

血縁関係は必要なく、友達でも恋人でも、ネット上で知り合ったおっさんでもいけるのがすごい(審査はある)。

ただし、拠点によっては収容人数に上限があるので、4人家族とかだと利用できない可能性もあります。

ADDressを別荘として使う:
ADDressはフリーランスの利用者が多いと思いますが、会社員にもおすすめです。例えば土日に家族と一緒に田舎のADDress拠点を使う、といった感じで、週末別荘として活用できます。

知らない街で暮らすのは楽しい

似顔絵
ADDress大分拠点近くの居酒屋で描いてもらった激似似顔絵

これは感覚的なメリットですが、やはり知らない街で、知らない家で暮らす、というのは刺激的で楽しいです。

そこには自分だけでなく他の利用者、家守(管理人)もいて、人と人の出会いもあって、さらに地域のお店の人たちと仲良くなったりすると、もはやそこに定住したくなる楽しさがあります。

例えば大分県佐伯市なんてADDressがなかったら訪れることはないだろう地域でした。しかしADDress拠点があることで訪れるきっかけができました。ただ生活するだけのことに新しい魅力を見出させてくれたもらいました。

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ウサミミ
やっぱりこの金額で、制約はあるとはいえ各地に「住める」のはデカい。もっと若い時に利用したかったぜ…

ADDress利用者という共通コミュニティに属せる

ADDress大分拠点で食べた朝ごはん
ADDress大分拠点で食べた朝ごはん

これも本質とは外れるメリットかもしれませんが…。ADDress会員という共通点があることで、オンラインオフライン問わず、繋がりが増えます。

もちろんあくまで副次的なメリットなんで、コミュニティのためだけに契約するのはコスパ微妙だと思いますが。ちなみに最近は「部活」なんかも登場して、ADDress会員同士で一緒の趣味を満喫しているそうです。

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ウサミミ
ADDress利用者は基本フォローしてるから、良かったらTwitterも見てね

ADDressのメリットはソフト面が主かも:
書いてて思ったんですが、ハード面つまり「月額4万円で全国200箇所に住む」という提供サービスだけを見ると、いろんな制約や管理の行き届いてないところもあって「100点満点!」とは言い切れない部分もあります。しかし、ソフト面「ADDressを通じて出会う人」「その地域の魅力の発見」みたいな数字に現れない魅力がとても大きく、これこそがADDressのメリットだと思います。これはもう体験しないとわからないので、説明が難しいですね。

ADDressのデメリット(悪かったこと)

デメリットイメージ画像のクセが強い
デメリットイメージ画像のクセが強い

てなわけでデメリットも紹介します。正直なところ、ADDressを契約してハッピーになれるかどうかの意見はかなり分かれると思います。その理由をデメリットとして紹介していきます。

家守(管理人)次第で拠点のクオリティが左右される

倉敷のADDres拠点
倉敷のADDres拠点

何度か言及していますが、各ADDress拠点には「家守(やもり)」という名の管理人がいます。この人が物件の予約の処理や備品の管理、共用部の清掃等を行っています。そしてADDressで良い体験ができるかどうかは、この家守さんによってかなり左右されました

例えば住み込みだったり、頻繁に顔を出したりする場合は室内も清潔であることが多いです。しかし中にはほとんど顔を出さない方もいます。

こうした拠点の場合、「誰がゴミ捨てするのか」「共用部を誰が掃除するのか」という問題になります。実際私が夏場に訪れたある拠点は、溜ったゴミの周辺に虫が湧くという最悪な状態でした。部屋内にはゴキブリがいて、彼と一夜を共にしました。

もちろん田舎だったり古い家だったりすれば虫がいるのも当然です。しかし明らかにこれは古いから虫がいるのではなく、汚いから虫がいるという状況もあり、とてもがっかりしました。

また、レビュー等でも「シーツが洗濯されてない」「タオルがない」など、備品が欠けていることを指摘しているものを何回か見ました。

ADDressはあくまで住居の提供であり宿泊施設ではないので、ある程度の清掃や管理は自分でやらなければいけません。しかし滞在する日数の中で共用部を全て掃除したり、指定日も収集場所もわからないゴミ捨てを行うのは難しいです。だからこそ最低限の部分を保つために家守がいると思うのですが、その辺が機能していないこともちらほらあります

最悪な物件はレビューで改善される:
ADDressにはレビュー制度があります。運営側もこれを参考にしているようで、評価が低い場合には改善に乗り出すことがあるようです。例えば上記に挙げた最悪だった物件は、家守さんの交代によって人気拠点に生まれ変わりました。逆に言えば、不満点があればレビューにしっかりと残すと良いでしょう。

こんな人はADDressに向いてない:その1
  • 虫が苦手
  • ルーズな人がいるとイライラする

運営側の問題だけでなく、利用者にしても「台所にゴミを残していく人」とかモラルに問題がある人がやっぱりいます。そういう時に、「腹が立つから自分も残してやる」と考えるような人は向いてないと思います。(というか利用しないでほしい)。例え前の住人のゴミがあっても自分で処理するような、「憎しみの連鎖は俺が断ち切る!」という主人公マインドを持ちましょう。

移動手段がないと不満かも

ADDress岡山拠点とバイク
ADDress岡山拠点とバイク

ADDressは全国に200以上の拠点があります。しかし、地域によって偏りがあります。例えば都内のADDressを公共交通機関によって周るのはそこまで苦ではないと思いますが、九州のADDress拠点を公共交通機関で巡るのは厳しいかなと思います。

私の場合バイクがあるからこそほとんどADDressだけで暮らすことができたと思います。例えば名古屋から東北に向かう際、私は名古屋(実家)→長野拠点→神奈川拠点→茨城拠点→栃木拠点→東北と、ADDress拠点だけで渡り歩くことができました。バイクでもそれなりに大変でしたが、公共交通期間となるともっと大変だろうと思います

家を持っていて、別荘としてたまにADDressを使うなら移動手段がなくても問題ないと思いますが、家をなくしてADDressだけで過ごすなら、移動手段がないと満足に利用できず無駄にコストがかかる可能性が高いでしょう。

こんな人はADDressに向いてない:その2
  • 移動手段を持たずADDressだけで生活しようと考えている人

ただこれはあくまでADDressの利用目的や頻度、地域の交通網にもよるので一概には言えません。

急に使えなくなる拠点がある

急に使えなくなった俺のXperia Z Ultra
急に使えなくなった俺のXperia Z Ultra(懐かしい)

「新しくXX拠点がオープンしました!」という連絡は逐一もらえるんですが、一方で使えなくなる拠点については特にアナウンスなく、いつの間にか一覧から消えます

まぁ実際のところ、「あれ?ないじゃん?」で済むし別に実害はないんですが、こういうことがあると「いつか急に使えなくなるリスク」を想定しなければいけないので、それはまぁちょっと嫌だなぁと。

場合によっては予約してたのに、「ごめん使えなくなったからキャンセルするね」ってことになる可能性もあるようです。こちら側にも予約をキャンセルできる権利がある以上、ADDress側にもキャンセルする権利はあると思うので批判はできません。ただサブスクサービスである以上、いきなり消えるのは渋い。

もちろんコロナの影響もあるでしょうから、どちらかと言うと今がイレギュラーなのかなって気もしますし。同様のサービスであるHafHにおいても急に予約できなくなることもあるので、まぁ仕方ないのかなと思います。

ADDressの予約とキャンセル:
ADDressの予約は楽天トラベルやじゃらんと同じように空き状況を見ながら予約することができます。ただし、予約の確定は申請から48時間以内に行われます。場合によっては予約を断られることもあるのでご注意ください(過去に1回だけあった)。

また、キャンセルは当日18時まで可能です。ただし滞在日前3日以内のキャンセルを月に3回行うと、14日間の利用停止となります。

デスクのない拠点もある(改善中)

ADDress大分拠点はゲストハウス「さんかくわさび」との提携拠点(ここはデスクあり)
ADDress大分拠点はゲストハウス「さんかくわさび」との提携拠点(ここはデスクあり)

ADDressで予約できる空き家には古い家もあります。古い家だと床が畳で、デスクがなくちゃぶ台しかないこともあります。

そうなると、非常に仕事がやりづらい。Wi-Fiや電源は完備されてるとはいえ、床に座った体制で長時間の仕事はできません。

ただ以前会員向けに行われたアンケートでも、仕事ができる環境を望んでいる声は多いようで、改善されているようです。

会員の質はとても良かったが…

私のADDressでの生活は西日本が中心で、特に田舎が多かったです。老若男女様々な会員と出会い、みんな本当に良い人・面白い人ばかりでした。会員同士のいざこざだったり、ストレスに感じたことは全くありませんでした。

ただ、関東の物件に関しては悪い噂も聞きます。ADDressには「専用ベッド」というプランがあり、これを契約すると上限なしで住むことができます。特に関東の物件ではこの「専用ベッド」契約の人が多く、シェアハウスのようになっています。そうした中で、ドロドロした人間模様だとか、定住している会員と一般の会員とのいざこざとか、そういった悪い噂を聞くことはありました。

ADDressを使ってみた感想まとめ

富士山とバイク
富士山とバイク

そんなわけで1年以上もお世話になっているので良いところだけでなく悪いところにも目につきますが、少なくともこの1年間はとても楽しく刺激的な生活が送れて、満足しています

そもそもADDressがなければ今のような生活はできませんでした。例えばGoToトラベルを利用して各地で安くホテル暮らしする、なんてことはできたでしょうが、この1年間ADDressを通して出会った人たちや体験と同じようなことはできなかったんじゃないかと思います。バイクに乗って一人で旅する中でも、「一人じゃない」と感じられたのは間違いなくADDressがあったからでしょう。

ただ、あくまでADDressはきっかけを与えてくれるだけであり、そのきっかけを生かすも殺すも自分次第です。結局のところ、「なんでも楽しむ」というおおらかなマインドを持たずただ損得勘定するだけだと、あんまり楽しめないかもしれません

ADDressに関するよくある質問

これまでADDressや他拠点生活について質問を頂く機会があったので、回答をまとめておきます。

他の人との交流はどのくらいある?

交流の有無は「拠点による」という回答が最も正確だと思います。これまで「ほぼ誰もいない拠点」も「必ず誰かいる拠点」も経験してきました。その中間くらいの拠点もありました。また、どのような拠点にしても必ず個室が与えられているため、一人になることが可能です。

住民票の登録や荷物の受け取りは可能?

専用ベッドプランを契約した場合のみ、該当する拠点に住民票を置くことができます。

専用ベッドの場合は予約という扱いではなく、その拠点に定住できます。その上で他の拠点を楽しむこともできるため、例えば実家に荷物や住民票を置けないなど事情がある場合におすすめです。

専用ベッドプランは拠点によって価格が変わり、またルールも多少異なります。詳しくは下記公式サイトをご覧ください。

また、荷物に関しては滞在先の住所で受け取りが可能です。移動する際に荷物を発送して、次に拠点で受け取る、ということが可能です。

洗濯機はある?

ADDress直営の拠点なら洗濯機・乾燥機が必ずあります。定型拠点の場合、少なくとも洗濯機は必ずありました。だいたい1回利用するのに200円くらいかかります。洗剤を持参した場合は無料で使えることもあります。

他にも調理道具など、生活していくうえで必要になるものは大体揃っていると思います。

ADDressとHafHで究極のアドレスホッパーや!

沖縄
1月の沖縄は最高

私はADDressだけでなく、HafHという似た別のサービスも併用して家を持たない暮らしをしています。ADDressについては以上の通りですが、HafHについてもぜひ比較検討してほしいサービスです。

HafHの拠点は世界中にあり、国内でも各県に2箇所以上はある感じです。コストパフォーマンスはADDressほど優れていない印象ですが、時にはプリンスホテルのようなラグジュアリーホテルにも泊まれます。

また、ADDressと違って最大滞在日数に応じたプランがあって、毎月プラン変更できるのも魅力。私は1月になってADDressを休会しつつHafHのプランを無制限プランにアップグレードし、1ヶ月間の沖縄滞在を楽しみました。HafHについては下記の記事で詳しく解説しているので、こちらをご覧ください。