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川にかかるトンネルの上を走る鉄道
田舎のトンネルです

三重県加太駅のすぐ近く。入って良いのか心配になるような細い道を進むと、煉瓦積みのトンネルが見えてきます。こいつが市場川橋梁です。

橋梁ってのは文字通り橋のこと。この上をJR関西本線が走ります。そしてトンネル部分を歩行者と牛谷川が通ります。

歩行者目線では「トンネル」なんですが、列車目線では「橋」てなわけですね。

見所さん

案内板
案内してもらおうか

案内板が立っていました。読んでみると、1890年に作られたっぽいことがわかります。だいぶ古いですね。そしてとくと湯的なのが、2つの継ぎ目を持っていることです。

  • 起拱継目:装飾のため、レンガを特殊な積み方をしたもの
  • 施工継目:1896年に追加された部分の継目(だと思う)

市場川橋梁に関する詳しい説明
築100年以上

施工継目については「明治29年(1896年)の加太駅開業時のもとと推定され、継目にて基礎部分の石材の仕上げを異にする。」と書かれていて意味がよくわかりませんが、おそらく後から継ぎ足されたってことなんだと思います。

じゃあこれを踏まえて潜ってみましょう。

2つの継目を確認しよう

牛谷川
歩いて渡れないこともない

では入場します。この日は夏真っ盛りの8月。足元に流れる牛谷川に泳ぐ魚たちが涼しげでした。煉瓦造りのレトロなトンネルに流れる川と魚、蝉の声。最高のシチュエーションです。

市場川橋梁内部
レンガはイギリス積み

さて冒頭の通り、この構造物は「市場川橋梁」であり「市場川隧道」ではありません。鉄道を主体として名付けられているのはちょっと珍しいかもしれません。しかし、このコンクリートの舗装路は後々作られたということです。つまり、本来はまさに橋だったわけです。

トンネル内部に残る2つの継目
横のおしゃれなラインが起拱継目で、縦の亀裂みたいなのが施工継目

そしてこれ!これが起拱継目ですね。ナーンか急にレンガを複雑な積み方にして、素敵な細工を施しています。明治時代のチャレンジ精神の表れなのかどうかは知りませんが、なぜか急にここだけ素敵な積み方をしております。こういったオシャレ積みをしているトンネルを、私は他に知りません。

そしてよく見ると縦にも大きなラインが走っていることがわかると思います。これが施工継目です。

施工継目を引で見る
割れたりしない?

引いてみるとわかりやすいですね。どうもこの施工継目を堺に、左右でレンガの状態がかなり異なるんですが、これは一体どういうことか。1890年と1896年なのであまり左右に年代差はないんですけどね。水が染みたとかなのかな?知らんけど。

橋の下にある橋
橋の下にある橋

もうすぐトンネルを抜けます。川はまっすぐ流れていますが、遊歩道は川を跨ぐ形で大きくカーブしています。特殊な形。

トンネル内部
油断すると落ちる

奥まで進んで振り返ったところ。

トンネルを抜けると橋、そして点字ブロック
なぜか反対側のみにある点字ブロック

抜けました。こっち側には急に点字ブロックが。そして銀のパイプがこれまた良いアクセントとなっています。市場川橋梁、地味ながら良いスポットでござった。

ちょっと名前が似てるよね、立場川鉄橋

関係ありそうで全然ないんですが、長野県には「立場川鉄橋」という廃橋梁があります。市場川橋梁が小粒ながらレトロで日本的な奥ゆかしさの廃橋ならば、立場川鉄橋はデカくて派手で、アメリカンな廃橋と言えるでしょう。